No. 118 『我慢しない!家庭でできる脱炭素社会に向けた暮らし方』の講演レポート

2021/12/24 更新   環境通信のトピックス


 『みんな気づけば、社会は変えられる!』をスローガンに、国民生活や環境(地球・社会)に悪影響を及ぼすテーマにも関わらず、経済効率が優先されるあまり、生活者には積極的に伝わらない「情報」を多くの方にお伝えしている一般社団法人ロングライフ・ラボの代表理事である清水雅彦様の講演を受講しました。
 この団体は「住まい」「健康」「環境」の3つのテーマで活動しており、今回は「環境」にフォーカスし、地球上の生物が生き続けられる地球環境を守るための『脱炭素社会に向けた暮らし方』についてご講演いただきました。

 始めに、「2050年までに暮らし方を改善することで家庭から排出する二酸化炭素をゼロにできると思いますか?」の問いに参加者は一瞬戸惑い、ゼロに出来ると挙手した人はわずか2名、「難しい」が3名、「分からない」が数名でした。清水さんのデータでは、8~9割の方は「できない」「難しい」「分からない」と回答され、脱炭素な暮らしは我慢を強いられるとイメージしている人はほとんどだそうです。

●気候変動の実情と人類を守るための目標設定
地球温暖化により地球の平均気温は年々上昇しており、1850年の産業革命前と比べると1.2℃も上昇しています。それによりグリーンランドの氷が解け、乾燥と高温で山火事が起き、観測史上最大の高温発生、これまで溶けることのなかった永久凍土にあった古代のウイルスが溶け出し、新たな感染症の流行をもたらす可能性が高いなど、このような事態を抑える為には気温上昇を1.5℃に抑える必要があります。温室効果ガスの排出を2030年までに半減し、2050年までには実質ゼロにしなければなりません。ティッピング・ポイントを超えないようにひとり一人があと9年で目標を達成出来るように心がけなくてはなりません。

ティッピング・ポイント(転換点)
・気温上昇を1.5℃以内
・2030年 温室効果ガス排出量50%
残された期間はあと9年!

現在日本の気温は1900年頃と比較すると2010年ですでに1.3℃上がっています。その後の10年で関東地方では約0.4℃上がり、合計するとすでに1.7℃上がり1.5℃の許容範囲を超えてしまっています。

CO2排出量はコロナの影響で2000年では約7%減少しました。しかし、CO2濃度は上昇の一途で増え続けています。ハワイの天文台での観測データによると、CO2濃度は、産業革命前と比較すると約1.5倍に上がりました。

「気候非常事態宣言」が昨年国会で決議されたが認知度が低いです。もっとマスコミでも取り上げひとりひとりの意識を高めて欲しいです。

社会構造自体を変えないと、人類生存が危ういです。その為には、2100年までに気温上昇を1.5℃以内にする。CO2排出量を、2030年までに半減、2050年までにはゼロに。
そして、すべての国や企業、すべての人がCO2排出量をゼロ。そのためには、毎年約8%削減しないといけないです。
システム・チェンジを実践し「急激な経済成長を追い求め続けない」とか、太陽熱利用システムを導入するなどして行かなくてはなりません。

2015年のパリ協定で発表された削減目標は、2021年気候サミットで世界への公約(2013年比の2030年の目標)として下記のように修正されました。
温室効果ガス ▲26%(2015年パリ協定)→▲46%(2021年気候サミット)
家庭CO2   ▲39%(2015年パリ協定)→▲66%(2021年気候サミット)
その為、2030年までに温室効果ガスは46%、家庭で出す二酸化炭素量を66%までにしなくてはなりません。

●家庭でできる脱炭素社会に向けた暮らし方
2019年度の家庭からの二酸化炭素排出量を燃料別でみると、電力からが45.1%、ガソリンからが26.1%、が大きく占めています(家庭からの二酸化炭素排出量構成比は、温室効果ガスインベントリオフィスの発表データによる燃料別2019年実績値)。

CO2排出量を減らすための具体的な行動は
1.まずは、エネルギーの浪費をやめる(我慢はしない)
2.電力会社を自然エネルギー100%の会社に変える→45.1%減る
3.寿命がきたら、暖房機をエアコンに、給湯器をエコキュートに、キッチンコンロをIHコンロに交換する→22.7%減る。
4.車の買い替えの時に燃費の良い車を選ぶ→約7.9%減る
ここまでを2030年までにみんなが実施したら75.9%削減出来るので、目標は達成出来きそうです。
5.残りのCO2排出量を削減するには、2050年までに電気自動車買い変える。
6.さらにコンポストや雨水を利用、植樹などをすることで、100%の目標を達成することが出来るのです。

電力消費量の占める自然エネルギーの割合(出典:自然エネルギー財団、2020年実績)を世界と比較すると、日本は明らかに低く22%です。ブラジル85%、デンマーク82%のように世界に追いつくように推進すれば脱炭素社会の構築は可能です。

日当たりの良い家は太陽光発電を利用するのをお勧めします。国は洋上風力を推進など徐々に自然エネルギーを増やす政策に変わってきています。

まとめ
①エネルギー浪費はやめる
②100%自然エネルギー電力会社に替える
③住宅設備機器の寿命が来たら買い替える
④家電製品の寿命が来たら買い替える
⑤車の寿命が来たら燃費の良い車に買い替える
⑥年に1本、植樹をする
⑦2050年までに車を電気自動車か水素自動車に買い替える
⑧日当たりの良い家は太陽光発電システムを設置する。
⑨住宅の高断熱化

2030年までにCO2削減量を50%削減、2050年までにゼロにすると聞くとかなりの努力が必要で大変でないかと思ってしまいがちですが、電力会社を自然エネルギーの会社に替えたり、太陽光発電システムを設置したり、エネルギーを消費する私たちの選択する意識を変えるだけで目標達成も夢ではないと実感しました。みんなで実行すれば決して無理なことではないのですね。消費は投票。企業や国ももちろんですが、消費者私たちに出来る事から少しずつ始め、脱炭素の目標達成を実現したいものです。

参照:一般社団法人ロングライフ・ラボ https://www.longlife-lab.jp/

記者:岩松 美千子