No. 136 アップサイクル

2024/01/31 更新   環境通信のトピックス

ごみや廃棄物を減らす取組みのひとつとして「アップサイクル」って聞いたことありませんか?昔は物を長く大切に使う考えがありましたが、現代は大量生産などで物が溢れ、物の大切さや廃棄することへの意識が薄れています。
使わなくなった洋服、小物などあらゆる製品をゴミとして廃棄にしないで、形や色を変えるなど付加価値を与え、新たな製品に生まれ変わらせる、それが「アップサイクル」です。
廃棄タイルからイヤリングにしたり、消防服をトートバッグにしたりと、元の製品の素材を生かして斬新な発想やデザイン性から近年大変注目を集めています。


【アップサイクルの原点】
アップサイクルの原点は、1994年にドイツレイナー・ピルツ氏が語ったのが始まり言われています。また、アップサイクルの考え方は、1800年代アメリカの思想家ラルフ・ワルド・エマソンも「自然界には寿命を終えて捨てられるものはない。そこでは最大限利用された後も、それまで隠れていた全く新しい次のサービスに供される」と語っていました。
日本でも物を大切にし、再利用する文化は昔からあり、陶器などの割れやひびの継ぎ目を金や銀で装飾する「金継ぎ」などありました。


【リメイク、リサイクルとの違い】
ここでアップサイクルと間違いやすいリメイクとリサイクルの違いをご紹介します。
・アップサイクル 別の用途に作り替え付加価値を付ける。
・リメイク アレンジを加え作り直すこと。価値がもとの製品より下がる場合もある。(例:タオルを雑巾に縫いなおすなど)
・リサイクル 粉砕や溶解などして原料に戻し資源として再利用する。


【アップサイクルの事例】
・COACHのバックを生まれ変わらせ新たなデザインにし次のオーナーへと受け継がれるブランド(COACH(RE)LOVED コーチ リラブド | 全てのCOACH (RE)LOVED )


・漁師が使い終わった廃漁網を回収、リサイクル、紡糸・織布、製品化の流れを企業と連携し、かばんや靴に(アライアンス・フォー・ザ・ブルー 100年後の子どもたちにも恵みの多い海を | 一般社団法人ALLIANCE FOR THE BLUE )


・見栄えが悪く廃棄予定の食材を利用し、お菓子など新たな食品に(Upcycle by Oisix https://upcyclebyoisix.jp/ )


・廃棄消防ホースをかばんに(UPCYCLE LAB アップサイクルとは・意味 | 世界のソーシャルグッドなアイデアマガジン | IDEAS FOR GOOD )


・廃棄衣料から繊維リサイクルボード(PANEKO トップページ(日本語) – 資源循環型 繊維リサイクルボード「PANECO」パネコ | ファッションロス-衣類廃棄とフードロス-食品廃棄を美しく再資源化したサステナブルな環境配慮-素材-建材 | Recycling Waste Clothing Clothes Fabric Fashion Food )


・プラスチックストローが水着に(オーストラリアマクドナルド プラスチックストローが水着に変身。マクドナルドのアップサイクル | 世界のソーシャルグッドなアイデアマガジン | IDEAS FOR GOOD )


・茶殻を配合した軽量パネルにし、営業車の架台へ(伊藤園 茶殻をアップサイクルした「茶殻配合軽量パネル」を開発。営業車の架台に採用することで石油資源の削減やCO2の排出削減に貢献。 | ニュースルーム | 伊藤園 企業情報サイト (itoen.co.jp) )


・廃棄タイルをまた新たなタイルへ(tiles 廃棄されるタイルを再生し、新たなタイルへUpcycled ceramic tile “TERRACLE” | tiles by HiRATA TILE | 新築・リフォーム問わず皆様の豊かな暮らしをご提案します。 )


・新たな新素材、バナナレザー・カフェオレベース(廃材を新素材に変えるデザイナー、村上結輝 | 世界のソーシャルグッドなアイデアマガジン | IDEAS FOR GOOD


【SDGs的には】
SDGsは17の目標と169のターゲットが設定されており、2030年までの達成目標です。アップサイクルに取り組む個人や企業が増えると、これらの目標にまた一歩近づくのではないでしょうか。
12「つくる責任つかう責任」
13「気候変動に具体的な対策を」
14「海の豊かさを守ろう」
15「陸の豊かさも守ろう」
以上のSDGs目標に該当します。
しかし、SDGsはあくまでも目標であって、どうしたら達成できるかなどの手法は示されていません。アップサイクルはこの目標達成の為のひとつの手段として取り入れるのが良いでしょう。


【メリット・デメリット】
これまで良いことばかりをご紹介していましたが、更なるメリットやデメリットもあります。
メリット
・新たな発想で本来の製品と異なるものにアップサイクルすると、他業界への進出、他業界とのパートナーシップも見込まれます。
・原料に戻すのではなく製品をそのまま生かすので、リサイクルのように分解や溶解などのエネルギー利用が抑えられるので環境負荷軽減に繋がります。
・環境負荷を考慮し持続可能なもの作りをすることは、社会的な評価を高め、環境、社会、ガバナンスに関わる様々な問題解決に貢献し、持続可能な経済成長を目指すESG経営に繋がります。


デメリット
・廃棄物から作られるものなので安定的に廃棄物が回収されるとは限らない。
・廃棄物を再生させ、そのものの寿命を長くする手段なので、アップサイクルされたものもいずれは廃棄物となる。



アップサイクルされた製品は、おしゃれな発想で新しい製品に生まれ変わらせているものが多いので、買い物や製品を選ぶひとつの選択肢として、取り入れてみるのが良いでしょう。



記者:アーバンシステム㈱ 岩松美千子